第70章 君だけがゴミを宝物だと思う

北村萌花は、母の死に北村昇太が関わっていることは知っていたが、生まれたばかりの妹が実は息絶えていなかったとは思いもしなかった。

虎は子を食わぬと言うのに、彼は生まれたばかりの実の娘に手をかけたのだ。こんな男、人とは呼べない。

「それが本当だという証拠はあるの?」

北村希は冷笑を浮かべた。「証拠がなければ、あなたを呼び出したりしないわ。当時の産婦人科部長は三井恵という名前。あなたのお母さんが亡くなった後、彼女は退職して海外へ行った。この数年間、ずっと北村昇太と連絡を取り合っているの。彼女が父を手伝い、父は彼女に一生裕福な暮らしを約束したのよ」

その名前に北村萌花は聞き覚えがあった...

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