第6章

「東京発大阪行きのフライトは確保してあります。明日の午後二時発です」

私はブリーフケースを整えながら、藤原翔太郎に淡々とした口調で告げた。

「本条財閥の大阪でのいくつかのプロジェクトは、私が直接処理する必要があります」

藤原翔太郎は経済ニュースを眺めていたが、私の言葉に顔を上げた。その眼差しには、もう長いこと見ていなかった気遣いの色が宿っていた。

「俺も一緒に行こうか? 最近、顔色が良くないぞ」

私は顔を上げず、書類を整理し続けた。

「必要ありません。あなたはずっとお忙しいのでしょう?」

「時間は作れる」

彼はタブレットを置き、立ち上がって私のそばへ歩み寄った。

「...

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