第20章

「鈴奈ちゃん、大好きです! サイン、もらえませんか?」

撮影現場を囲うフェンスの向こうで、若い女の子が両手を合わせ、満面の笑みで新藤鈴奈に声をかけた。

撮影中に外部の人間が入り込まないよう、現場はフェンスでしっかり区切られている。とはいえ、それでも毎日のようにファンが足を運ぶ。推しをひと目でも見たい、ただそれだけのために。

デビューしてまだ間もない上、いまは何かと黒い噂までついて回っている。そんな自分を、わざわざここまで待って会いに来てくれる人がいる――鈴奈の胸は、素直に温かくなった。

サインくらい、別にいい。好きだと言ってくれる気持ちへの、せめてものお返しだ。

そう思って一歩踏み...

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