第25章

「出来てた」だなんて、あまりにも品がない言い方だ。新藤鈴奈は、そんなふうに決めつけられるつもりはなかった。

彼女は皮肉のこもった視線を稲垣征也の隣に立つ女へ向け、それからまた彼を見た。自分でも気づいていないほどかすかな傷つきが、その目の奥に滲んでいる。

「稲垣征也。そんなこと言う前に、自分のことは見えてないの?」

いつだって津田真由を連れ歩いて、人目も気にせず振る舞っているくせに。

それで今さら、自分だけを責める資格がどこにあるのか。

彼は何度も何度も、彼女の気持ちを踏みにじってきた。

愛していないのなら、どうしてあんなふうに情のある顔をするのだろう。

稲垣征也は眉をひそめ、歯...

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