第33章

「調べられました。病院の入院システムがさっき更新されて……奥様のお名前、確認できました」

アシスタントは真っ先に稲垣征也へ電話を入れた。

正確な病院の住所を聞くなり、稲垣征也の引き締まった顔に珍しく笑みが浮かぶ。間髪入れず車を走らせた。

病院の入口に着くや否や、病室の中から話し声が漏れてくる。

稲垣征也は眉をわずかに寄せ、足音を殺して中へ入った。声はかけない。

ベッドには新藤鈴奈が枕にもたれて横たわっていた。血の気のない白い頬、色を失った薄い唇。儚げな弱さが、否応なく目を引く。

その前に立っている男は、背中だけでわかるほど長身で、姿勢もきれいだった。

二人とも、稲垣征也が来たこ...

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