第35章

新藤鈴奈は、日が暮れても稲垣征也が日織を連れて姿を見せないことに、胸の奥がざわついて仕方なかった。心配でたまらず、夕食にも手がつかない。

神園和臣は、彼女が扉のほうをじっと見つめ続けているのを見て、諦めたようにため息をつく。持ってきた食事をそのまま彼女の目の前へ差し出し、ぶつぶつ言った。

「ねえ、俺のこともちょっとは尊重してくれない? わざわざ人に作らせて持ってきたのに、ひと口も食べないとかさ」

新藤鈴奈は沈んだ顔のまま、視線を落とす。声も弱々しい。

「食べられない……日織がどうしてるのか、わからなくて」

日織はまだ幼いのに、急性白血病だなんて。

こんな苦しみ、本来この子が背負う...

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