第40章

稲垣日織は彼女の娘だ。新藤鈴奈が断る理由など、あるはずもなかった。

「いつですか」

いまの日織が自分にどれほど不満を抱いていようと、あの子は娘だ。見殺しになどできない。

津田真由はにっこり笑って答えた。

「午後3時よ」

「わかりました。その時間に伺います」

そこでひと呼吸置き、新藤鈴奈は淡々と続ける。

「津田さん、ご用件がそれだけでしたら、もうお帰りください」

だが、津田真由は動かなかった。

すっと立ち上がると、新藤鈴奈のそばまで歩み寄る。血色のいい頬を見つめ、くすりと笑った。

「神園さんって、本当に鈴奈に優しいのね。しかもあなたももう次を見つけたみたいだし……離婚も、も...

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