第46章

新藤鈴奈は不意を突かれ、飛んできたファイルが頬に直撃した。皮膚が裂け、赤い筋がすっと走る。

稲垣日織も当たるとは思っていなかったのか、一瞬ぽかんと固まった。だがすぐに顔をこわばらせ、ふん、と鼻を鳴らす。

神園和臣が一歩出て、新藤鈴奈の肩を支えた。長い指先がそっと頬の傷に触れ、低い声で尋ねる。

「大丈夫か?」

新藤鈴奈は唇を噛んで、こくりと首を振る。

その仕草と、見知らぬ男に支えられている距離感が気に障ったのだろう。稲垣日織がかっとなり、指を突きつけて叫んだ。

「そんなことして、パパに申し訳ないと思わないの!? 悪い人!」

娘の容赦ない罵声に、新藤鈴奈の表情が凍りつく。喉の奥...

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