第59章

紹介されるあいだも、稲垣日織は服の裾をぎゅっと握りしめたまま、新藤鈴奈をじっと見つめていた。

その瞳の奥には、隠しきれない期待が揺れている。

新藤鈴奈は少女の顔をしばらく見つめ、それから淡々と首を横に振った。

「……覚えてない」

自分でも、この胸の内をどう言えばいいのかわからない。

ただ確かなのは、こんなに大きな娘が自分にいるという事実を、まだどうしても受け入れきれないということだった。

その瞬間、稲垣日織の目がみるみる赤く染まった。

くるりと背を向け、そのまま稲垣征也にしがみつくと、しゃくり上げながら泣き出す。

稲垣征也は眉間をきつく寄せ、娘を抱き寄せたまま、新藤鈴奈を見た...

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