第9章

稲垣日織はどれだけ不満でも、結局は稲垣征也に旧宅まで送り届けられるしかなかった。

征也が突きつけた選択肢は二つ。

学校へ行くか、旧宅へ戻るか。

迷った末に、日織は旧宅を選んだ。

――けれど、帰ってすぐ後悔することになる。

稲垣おばあ様は、ひどく厳しくて意地の悪いおばあさんだった。しかも新藤鈴奈を気に入っていないせいで、その娘である孫にまでろくな情を向けない。

旧宅に戻った日織は、朝から晩まで祖母の規則に縛られ、言葉ひとつ自由に発せられない。遊びたい、甘えたい――子どもらしい衝動は押し込められるばかりで、寄り添ってくれる人もいない。胸の奥に溜まっていくのは、言いようのない悔しさと寂...

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