第11章 招かれざる客

田中康介はベッドに横たわり、瞳を閉じていた。だが胸の奥の苛立ちだけは、蔦のようにどこまでも伸び、絡みついて――息が詰まる。

だが胸の奥の苛立ちだけは、蔦のようにどこまでも伸び、絡みついて――息が詰まる。

この十年、渡辺美咲はいつだっておとなしかった。傷ついても、ただ黙って涙をこぼすだけ。

それが今回は違った。出ていくと言ったら出ていく。離婚すると言ったら離婚。逃げ道を一切残さない。

――本当に、手放せるはずがない。

そう思うのに、説明のつかない恐怖が、じわりじわりと胸の底から湧き上がってくる。落ち着けない。寝ているふりをしても、心だけが暴れて止まらない。

ベッド脇の椅子に腰掛けた...

ログインして続きを読む