第18章 挑発

向かいの女は淡いピンクのワンピースに身を包み、長い髪を肩に流していた。手には、華やかに飾られたマカロンの皿。笑みは甘く、香り立つように作られている。

その視線が渡辺美咲へ向けられた瞬間、ほんの僅かな挑発が混じった。

「あなたが美咲さんですね? 田中さんが新しく雇ったパティシエの、小林亜里沙です」

小林亜里沙は自分から話しかけ、やけに親しげな声で名乗った。視線は美咲の上から下までゆっくりなぞり、誇示するような光を宿す。

「田中さんの好きなデザートを、わざわざ作ってきたんです。口に合うかは分からないけど……。ちょうど渡辺さんにお会いできたので、教えてほしくて。田中さんって普段、どんな味の...

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