第26章 みんなママのせい!

田中康介――たったそれだけの言葉が、そこにいた全員の動きを止めた。

渡辺莉々は、宙に浮いたまま田中康介の手を握りしめる。顔に浮かんでいた不安は、まず信じられないという色に変わり、やがてどす黒い嫉妬と憎しみへと沈んでいった。

――この人、こんな身体なのに。目を覚まして最初に口にしたのが、渡辺美咲を庇う言葉?

……どうして。

……なんで、そんなことができるの。

そもそも、渡辺美咲がいなければ、康介はこんな目に遭わなかったはずだ。

そう思った瞬間、莉々は奥歯をぎり、と噛みしめる。

渡辺美咲も、同じように言葉を失っていた。

半分だけ開いた田中康介の目。紙みたいに白い顔に貼りついた、意...

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