第39章 診療記録

田中康介の問いかけを聞いた瞬間、渡辺莉々の心臓がひやりと跳ねた。

 彼には見えないと分かっていながら、それでも慌てて口元に笑みを作る。

 「康介、このことは……先に謝っておきたいの」

 「どうした?」

 田中康介は、分かっていながらあえてそう聞いた。

 「昨日の夜、健人のところへ行くって約束したでしょ。着替えて、もう出ようとしてたの。ただ、家を出る直前に倒れそうになっちゃって……どうにもならなくて、そのまま病院に行ったの」

 そこまで言ってから、彼女はわざとらしく二度ほど咳き込んだ。いかにも具合が悪そうに聞こえる。

 「それで、体は大丈夫なのか? 医者には何て言われた?」

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