第25章

私は神谷陸の目の前で、そのまま連れて行かれた。

陸が遅れて追いすがろうとしたところで、どこからともなく屈強な護衛が何人も現れ、道を塞ぐ。

「お前ら、誰だ! 彼女は俺の婚約者だぞ! どこへ連れて行く!」

無様な怒鳴り声が遠ざかっていく。私は腕を取られたまま外へ運ばれ、頭の中がまだ追いついていなかった。

車に放り込まれた瞬間、見覚えのある男が視界に入った。

蓮司。深い黒のスーツを纏い、後部座席に腰を据えたその姿だけで場の空気を支配している。物音がしても、こちらを一瞥すらしない。

……本当に蓮司だ。メッセージは既読にもならなかったのに、助けに来た?

胸がぱっと明るくなって、思わず飛び...

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