第28章

ドアがきちんと閉まっていなかった。私は部屋になだれ込んだ瞬間、床にどん、と叩きつけられる。

痛みで眉間がきゅっと寄った。

「――っ、いった……」

打った膝を抱えたまま顔を上げると、正面の壁に飾られた一枚の写真が目に飛び込んできた。

若い夫婦のツーショット。榕樹の下で、まぶしいくらいに笑っている。

瞬きを二度。どこか見覚えがある、そう思った次の瞬間、脳裏に蓮司の横顔がよぎって、ようやく気づいた。

……似てる。

蓮司と、この写真の二人。輪郭も目元も、驚くほど重なって見える。

ってことは――。

「蓮司の……ご両親?」

痛みをやり過ごしてから立ち上がり、私はふらつく足で額縁へ近づ...

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