第29章

彼女は踏み込んだ。

――俺にとって、決して誰にも触れさせたくない、あの部屋へ。

両親がいなくなってからというもの、俺は半ば狂ったみたいに、あの部屋へ近づく人間を片っ端から遠ざけてきた。

それなのに相沢美月という女は、あっさりと扉の向こうへ入り込んだ。

腹の子を盾にしてくるものだから、俺は彼女をその部屋に閉じ込めた。

夜が落ちても眠気は来ない。頭の中は両親のことばかりで、ぐるぐると同じところを回り続けていた。

相沢美月を閉じ込めた部屋の前を通りかかる。

灯りが――まだついている。

鍵を取り出し、回す。

静かに扉を押し開けると、机に向かって何かを書いている女が目に入った。

相...

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