第51章

部屋の中は、息が詰まるほど静まり返っていた。

数人分の視線が、いっせいに私へ突き刺さる。

 その中でも、いちばん深くて重かったのは一ノ瀬蓮の視線だった。

「えっと……今の、ただの冗談です」

 しばらくしてから、私は観念したように視線を落とした。もう彼と目を合わせる勇気なんてない。

 マネージャーも慌てて間に入る。

「社長、こちらのお嬢さんは本当にお部屋を間違えただけなんです。お騒がせしたのは私でして」

 お粗末な嘘だ。つつけばすぐ崩れる。

 私は一ノ瀬蓮の、眉を寄せたまま何を考えているのか読めない顔を見つめながら、どうかこの補佐役がこれ以上余計なことを口にしませんように、と祈...

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