第7章

翌朝、祐真がオフィスにいる間に、私はタクシーで鳴瀬家の顧問法律事務所へ向かった。祐真の実家の仕事を三代にわたって請け負ってきたその法律事務所のロビーに足を踏み入れると、手に汗がにじんだ。

「鳴瀬家の信託について、どなたかにお話を伺いたいのですが」と、私は受付に告げた。

二十分後、私は高藤一郎氏本人と向かい合って座っていた。彼は銀髪の紳士で、祐真がまだ少年の頃からの知り合いだという。

「鳴瀬さん、今日はいかがなさいましたか?」彼は温かく尋ねた。

「忠誠心テストの要件についてお伺いしたくて」

私はさりげなさを装って言った。

「ご存じかと思いますが、信託財産を相続する前に、夫婦が...

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