第4章

翌日、私は鏡台の前に立ち、口紅を引いていた。昨夜流した涙はとうに乾き、今日、私は再び完璧な川田家の令嬢でいなければならない。

健一がプロフェッショナルを望むなら、こちらも望み通りにしてあげるまでだ。

今夜はL市医療センターが主催する年に一度の慈善ガラだ。佐藤家の新しい嫁として、そして川田映像の代表として、私は完璧な姿で出席しなければならない。たとえ、私の心はすでに粉々に砕け散っていたとしても。

L市医療センターの豪華なボールルームは、クリスタルのシャンデリアの下で煌めき、イブニングドレスに身を包んだ医療界のエリートたちがグラスを鳴らし、談笑している。私は健一の腕を取り、完璧な社交用の笑みを浮かべていたが、心の中の冷たさは、L市の三月の夜風よりも冷え切っていた。

昨夜、なぜそんなに私を嫌うのかと涙ながらに問うと、彼はただ「複雑なんだ」とだけ言った。今夜、私たちはまた皆の前で完璧な夫婦を演じなければならず、私はもう限界に近かった。

「佐藤先生、本当に幸運ですね!」心臓外科部長の鈴木先生が、羨望に満ちた目でシャンパンを片手に近づいてきた。「こんなにお美しくて優雅な奥様とご結婚されて。お二人は我々医療界の模範的な夫婦ですよ!」

健一は礼儀正しく頷いた。「ありがとうございます、鈴木先生」

その声は、まるで症例報告に応えているかのように平坦だった。私は優雅な笑みを保ちながら、心の中では絶叫していた。――模範的な夫婦?この人が私の手に触れるだけでびくりと身を強張らせることを知っても、まだ同じことが言えるのかしら?

「健一はいつも謙虚なんです」私は甘い声で付け加え、そっと彼の上着の袖を撫でた。「私たちは本当に……相性がいいんですよ」

健一の体が微かに強張るのを感じ、また一つ、痛みが心を突き刺した。公の場での基本的な夫婦の触れ合いでさえ、彼をこれほど不快にさせるのだ。

「薫さんは、どうやってご夫婦円満を保っているのでしょうか?」とある医者の奥様が興味深そうに尋ねてきた。「うちの夫なんて、仕事の話になると私のことなんて空気みたいに扱うのですよ」

思わず苦笑しそうになった。円満?健一は、見ず知らずの患者よりも私を遠ざけているというのに。

「薫はとても理解があり、私の仕事に決して干渉しません」と、健一が不意に口を開いた。

理解がある?それとも、あなたが決して近づかせてくれないから?内心で怒りを燃やしながら、私は優雅に応えた。「お医者様のお仕事は大切ですもの。理解しておりますわ」

理解なんかするものか。私が理解したのは、この結婚における自分の完全な敗北だけだった。

「父の旧友に挨拶してくる」健一は私の耳元でそう囁くと、腕を解いた。

人混みの中へ消えていく彼の背の高い姿を、見慣れた孤独感に襲われながら見つめていた。あの調査をしてからずっと、彼は私と一秒でも長く一緒にいることさえ負担に感じているのだ。

喉の奥の苦い味を抑え込もうと、シャンパンを一気に飲み干した。もう、本当にこれを終わらせる時なのかもしれない。

その時、私はあの光景を見てしまった。

ボールルームの脇の部屋で、私の夫である健一が、金髪の女性医師と親密に会話していた。手の中のシャンパングラスが、途端に灼けつくように熱く感じられた。

中島佐紀医師――前回の家族の集まりで、健一に明らかに興味を示していた心臓血管外科医。今、彼女の目は崇拝の念で輝き、その細い指が健一の腕に軽く触れている。

心臓を誰かに悪意を持ってねじり上げられたような気がした。

「先生の手術手技は本当に芸術的ですわ」中島医師の声は、吐き気がするほど甘ったるい。「ぜひ拝見して勉強させていただきたいです」

そして、私の心を打ち砕く光景を見てしまった――健一の唇が、確かに笑みを形作っていたのだ!あの集中した、穏やかで、わずかに誇らしげですらある表情は、私が今まで一度も見たことのないものだった!

「医療は絶え間ない情報交換と進歩が必要ですからね。いつでも見学に来るといいです」彼の声には、私が狂おしいほど嫉妬する温かみが含まれていた。

私には、一度だってあんな顔を見せたことなんてないのに!

私が体調不良を装った時、彼はプロとして冷ややかに手の甲で熱を測った。わざと足首を捻挫した時、彼は専門医にかかるよう主張した。私が近づこうと試みるたび、彼はいつも言い訳を見つけて逃げ出した。あらゆる試みは、彼の「プロとしての距離感」によって無慈悲に退けられた。

そして今、この中島医師と医学の話題を語り合う時、彼の目は輝いている――それこそが、私が夢見て、けれど決して与えられなかった眼差しだった!

私は完璧な笑顔を保つのに必死で、どんな状況でも平静を失わないようにという幼い頃からの礼儀作法の訓練に、内心で静かに感謝した。しかし心の中は怒りで燃え盛っていた――この間の私の努力も、試みも、流した涙も、すべてがこの瞬間に、ただの笑い話になってしまったのだ。

「薫?大丈夫か?」

心配そうな声が隣から聞こえた。振り返ると、天野美咲が近づいてくるところだった。私のスタイリストであり親友でもある彼女も、今夜の慈善ガラに招待されていたのだ。

「大丈夫よ」私は無理に笑みを作った。「少し疲れただけ」

美咲は私の視線を追い、すぐに状況を察した。「あの女、誰?」

「中島佐紀医師、心臓血管外科医よ」私の声は恐ろしいほど落ち着いていた。「健一のお父様の旧友だそうよ」

「旧友なわけないでしょ!」美咲は声を潜めた。「見てよ、あの媚びた態度!それに健一さんったら、まんざらでも……」

「まんざらでもないどころか、崇拝されて楽しんでるわ」私は彼女の言葉を引き継いだ。爪が掌に食い込みそうだった。

私は、中島医師が背伸びをして健一の耳元で何かを囁き、彼がさらに輝くような笑みを浮かべるのを見た!あの落ち着いて、自信に満ちた、魅力的な笑顔こそ、私が夢見ていたものだったのに!

「行ってくる」私はシャンパングラスを置き、嫉妬と絶望が入り混じった恐ろしい怒りに身を任せた。

「薫、落ち着いて」美咲が私を掴んだ。「ここは公の場よ」

「わかってる」私はハイヒールで歩み寄り、死ぬほど甘い声で言った。「健一!お二人とも、ずいぶん話が弾んでいるようですわね?」

健一は振り返り、その笑顔は瞬時に消え、いつもの変わらぬ礼儀正しい仮面に戻った。「紹介しますよ。佐紀さん、こちらは妻の薫です。薫、こちらは中島佐紀先生」

その口調は、まるで見知らぬ人を紹介するかのように平坦だった。

中島医師は優雅に手を差し出した。「薫さんのことはかねがね伺っておりますわ。お二人は幼馴染でいらっしゃるとか」

「まあ、そんなところですわ」私は彼女の指を握り潰さないように、全力で力を抑えながら握手した。「両家が旧知の仲ですので」

けれど、私たちには夫婦としての基本的な会話すらない。

「佐藤先生から、最先端の心臓外科手術の技術についてお話を伺っていたんですの」中島医師の目は勝ち誇ったようにきらめいた。「本当に勉強になりましたわ。お二人も、よく医学的なお話をされるのでしょう?」

私は危うく大声で笑い出しそうになった。

「ええ、もちろん」私は健一を見つめ、目に皮肉を込めて言った。「夫はいつでも、その専門知識を……共有することにとても前向きですもの」

少なくとも、他の女性に対しては。

健一は何かを察したのか、眉をひそめた。「薫、顔色が良くないぞ?」

「大丈夫ですわ」私の笑みはさらに輝きを増した。「あなたが医療関係の同僚の方に、そこまで……熱心だとは思いもよりませんでしたので」

「佐紀さんは父の友人だ。当然、礼儀正しくするべきだろう」健一の声には、いくらかの緊張が混じっていた。

礼儀正しい?あれを礼儀正しいと言うの?あなたはまるで恋に落ちた十代の少年のように彼女に微笑んでいたじゃない!

「ええ、もちろん。あなたはいつもとてもプロフェッショナルですもの」私の声はさらに冷たくなった。「特に……重要な方々を相手にするときは」

中島医師は気まずい雰囲気を鋭く察知した。「では、私は他の同僚にご挨拶してまいりますわ。お二人でどうぞ」

彼女が去った後、健一はすぐに私に向き直った。「薫、今のはどういうことだ?」

「別に」私は中島医師の優雅な後ろ姿を見つめながら、心の中の怒りが爆発しそうになるのを抑えた。「あなたの社交術に感心していただけですわ」

「どういう意味だ?」

「どういう意味か、お分かりでしょう」私はここで醜態を晒したくなくて、背を向けて歩き出した。

健一は後を追い、その声には珍しく焦りが含まれていた。「もし私が何か間違ったことをしたのなら……」

私は立ち止まり、彼に向き直った。この男は、他の女性にはあんなに優しく微笑むことができるのに、私に対してはいつもこの戸惑った、無垢な表情を浮かべるのだ。

「あなたは何も間違っていませんわ、健一」私の声は恐ろしいほど落ち着いていた。「完璧な振る舞いでした。とてもプロフェッショナルで」

私は静かな隅を見つけて腰を下ろし、スマートフォンを取り出して検索した。画面にはすぐに結果が表示された。「L市 トップクラスの離婚専門法律事務所」

私は画面をタップし、様々な法律事務所の情報を閲覧した。結婚して四ヶ月――この一方的な拷問はもう終わりだ。彼がプロフェッショナルを望むなら、こちらも完全にプロフェッショナルな結末を用意してあげよう。

「森山法律事務所――富裕層向けの離婚案件専門」

「小倉法律グループ――L市随一の家族法専門弁護士」

「間宮家族法専門事務所――クライアントのプライバシーを保護し、迅速な離婚手続きを実現」

どのリンクも、自由は手の届くところにあると、私を手招きしているようだった。

スマートフォンの画面を見つめながら、私の心には先ほどの光景が蘇っていた――健一の中島医師への微笑み、私が一度も見たことのない彼の眼差しの優しさ、そして私を紹介するときの事務的な口調。

つまり彼は、女性に優しくできないわけではなかったのだ――ただ、私に優しくしたくないだけだったのだ。

私は一番上の法律事務所のウェブサイトを選び、相談予約のボタンをクリックしようとした、その時だった――

「薫さん!」

背後から声が聞こえ、私の行動を遮った。

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