第6章
翌朝、健一が病院を出た後、私はすぐに行動に移した。
美咲に電話をかけた時、彼女はまだ寝ぼけていた。「薫? まだ七時よ……」
「ナース服を買ってきてほしいの」私は単刀直入に切り出した。
電話の向こうで三秒の沈黙。
「は?」
「聞き間違いじゃないわ。今夜、病院に行って、愛する夫にサプライズを仕掛けるの」
今度は、こちらが主導権を握る番だ。
一日かけて今夜の「奇襲」計画を練った。午後に美咲が届けてくれた「特注」のナース服には、彼女らしいいたずらっぽい笑みが添えられていた。「あなた、本気なの? どんな恋愛映画の脚本よりスリリングだわ」
「健一はプロとしての距離感の陰に隠れて...
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