第6章
「ドサッ——」
鈍い音が響いた。中庭に足を踏み入れた瞬間、私の目に飛び込んできたのは、傷だらけの美雪を引き摺りながら、目の前で膝をつく司の姿だった。彼の胸元の包帯からはどす黒い血が滲んでいる。それは昨日、私が真実を暴いた後に彼が自傷した痕だった。
「千夏……助けて……」
美雪が顔を上げる。瞳孔は拡散し、意識は混濁しているようだ。
彼女の首筋には青黒い爪痕が無数に走り、腕には九尾の狐の魅了術による焼き焦げたような刻印が残っている。
司が彼女に対して非情な手を下したのは明らかだった。
「千夏!」
司が狂ったように叫び、額を地面に叩きつける。
「こいつをお前に捧げる! 頼...
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