第16章

ここは郊外のレジャースポット、月野マンションだ。

月野マンションは下川の高官や貴族が普段くつろぎ集う場所で、ここに現れる人々は皆、富か権力を持つ者たちばかりだ。

数人が川辺で釣りをしている。

「おい信也、一体どうなってるんだ？なんで魚が全部お前の竿に集まってくるんだ？俺たちは一匹も釣れてないのに！」

杉本健司は藤原信也のバケツを一瞥し、憤慨した様子で言った。

藤原信也は静かに岸辺に座っていた。

彼はカジュアルな服装で、初春の陽光が彼の上に降り注ぎ、微風が彼をなでることで、一層端正な容姿が引き立っていた。

ここに女性がいなくて良かった。さもなければ、きっと驚嘆の声が上がっていただ...