第263章 血染めの旗

アネルは胸に微かな訝しみを覚えつつも、差し出されたその木箱を受け取った。

木箱そのものは決して重くない。だが、手に取った瞬間、アネルの心臓は早鐘を打ち始めた。まるでその箱の中に、とてつもない何かが封じ込められ、彼女が開けるのを今か今かと待ち構えているかのような、不吉な予感が走る。

逸る気持ちに突き動かされるように、アネルは急いで蓋を開けた。

そこには、丁寧に畳まれた布が一枚入っているだけだった。古びており、端の方には不自然などす黒い変色が見て取れる。

いや、ただの布ではない……。

アネルの指先が震えだした。一目で悟ったのだ。

それは父の軍旗の一つであり、ヴェルリット家を象徴するも...

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