第264章 無力な証拠品

アネルは深く息を吸い込んだ。当然、この件でボリバル家を責める筋合いはないと分かっている。それにボリバル大奥様の話によれば、彼女は当時ヴェルリット家を訪ねようとしたものの、お母様に面会を拒絶されたのだという。

そうでなければ、この旗はとうの昔にヴェルリット家に戻っていたはずだ。

アネルには、他人に責任を押し付けるような悪癖はない。彼女は何度か深呼吸を繰り返し、昂る感情を必死に鎮めてから、ボリバル大奥様の瞳を真っ直ぐに見つめた。

「事情は分かりました。感謝いたします、ボリバル大奥様」

アネルは厳粛な口調で切り出した。

「ですが、事の重大さは言葉一つで片付けられるものではありません。この...

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