第292章 消えたカンティニ

そう考えると、カンティニの眉間に漂っていた陰鬱な影がいくらか晴れた。

彼女は心安らかに壁へ背を預け、ゆっくりと視線を落として足首の鎖を見やる。

以前、別の部屋にいた時は手足すべてを鎖で繋がれ、大きな身動きひとつままならなかった。だが今回は、ホウデンは片足しか拘束していない。おかげでカンティニの行動範囲は大幅に広がり、扉の前まで歩いていくことさえ可能だった。

それに……。

カンティニは鼻を鳴らす。この程度の束縛など、彼女を阻むには何の役にも立たない。従軍していた長い年月の間に、簡易な解錠技術などとうに習得済みだ。ましてや足首のこれなど、細長い棒きれ一本あれば数回つつくだけで外せてしまう...

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