第297章 ノアペ・ディチ

 ホウデンは眉をひそめた。

「こんな身分を用意して、俺にまたあいつの身代わりとして監禁生活を送れって言うんじゃねえだろうな」

「まさか」

 男は少し思案してから、脇にある本棚へと歩み寄り、何かを探し始めた。

 しばらくして、彼は一通の手紙を手に戻ってくる。

「表向きには、今のディチ家にはノアペという後継者しか残っていないことになっている。だから誰かがディチ家と縁続きになろうとすれば、結婚相手にノアペを選ぶしかない。そうなれば必然的に、ノアペは塔から解放されるというわけだ」

 ホウデンは彼の手から手紙を受け取った。

「二十年以上も塔に閉じ込められてた男を夫に選ぶなんて、どこの馬鹿...

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