第300章 アズラエル

アネルはアズラエルの瞳を覗き込みながらも、そこに兄スクルドの面影を重ねることはなかった。彼女の記憶において、これほど美しい双眸を持つ殿方はスクルド一人ではない。最愛の叔父、タシロもまたそうであったからだ。

スクルドの瞳は確かに美しい。だが、父と共に長年戦場を駆けたその眼差しには、どうしても鉄のような堅忍さと殺伐とした色が混じる。それはまるで、真冬に凍てついた湖面のようだった。

対して、タシロは違う。剣の才に恵まれながらも、彼は生まれついての規律嫌いだ。成人してからは放浪の旅に出ることが常で、ソース帝国はおろか、ヴィレ帝国やゾット城さえ越え、大陸の彼方まで足を延ばしたと聞く。

その奔放さ...

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