第304章 受け入れざるを得ない偶然

アネルは腑に落ちないものを感じつつも、アズラエルが反論しないのを見て、パスカル医師の言葉を信じることにした。

何しろ、公爵家との親交をむざむざ拒む者など、そうはいないだろうから。

もし頑なに拒絶するとすれば、よほどの仇敵か、あるいは徹底した中立を貫きたいかのどちらかだ。それ以外の可能性は、アネルには思いつかない。

言葉にし難い懐かしさのようなものを感じる以上、アズラエルがヴェルリット家と敵対関係にあるとは、本能的に思えなかった。だが、ヴィレ帝国とソース帝国の貿易が始まったばかりという情勢を鑑みれば、ヴィレ帝国の医師として絶対的な中立を保ちたい、ヴェルリット家と深入りしたくないという判断...

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