第322章 本当に愛してくれる人はいるのか

しかし今、アネルは彼女の目の前に立ち、カンティニが並べ立てた虚飾の言い訳をすべて引き裂いた。血の滴るような現実を、容赦なくその目前に突きつけたのだ。

カンティニは顔を上げた。憎悪に燃えるアネルの瞳。そこに映るのは、醜悪な自分の姿と、恐怖と不満に歪んだ己の両眼だった。

「嘘よ、ありえない! 全部でたらめだわ!」

カンティニは思わず頭を抱えそうになった。あまりに多くの情報が奔流となって押し寄せ、脳髄が内側から破裂しそうなほどの衝撃と痛みが走る。その激痛に、彼女はなりふり構わず絶叫した。

「もしそれが本当なら、どうして私を殺さなかったのよ!」

「両国の国交に関わる問題だからです。それに、...

ログインして続きを読む