第73章 憎しみの種

エルス山脈。

第三急行隊の傍らで、フロールは腕を組み、冷たい眼差しで軍が進む先を見つめていた。

隣で馬上にいるヴィレ帝国元帥サスロフが、淡々と口を開く。

「ソース帝国側にはもう知らせが届いているはずだ。第7軍団にも一時間後にエルス山脈に入るよう命じてある。東へ向かうと見せかけ、いつでもヴァルニクサを攻撃する準備があるように見せかけることで、ソース帝国の兵士をすべてここに釘付けにさせる」

フロールは彼をちらりと一瞥した。

「ソース帝国の連中が必ず計略に嵌まり、ヴァルニクサを固守すると、それほど自信があるのか? フリーデルは簡単な相手ではないぞ」

サスロフは軽蔑するように笑った。

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