第84章 風の中の墓石

彼女は心の底から湧き上がる奇妙な感覚を無理やり抑え込み、フリーデルについて馬を牽きに行った。ここ最近の戦場では馬を使うことがなく、ミレンは軍営の厩舎に預けられており、もう何日も会っていなかった。

アネルはミレンの姿を見るやいなや、すぐさま愛おしげにその鬣を撫で、飼い葉を少し与えてから、ようやく馬を牽いて外へ出た。

二人は馬に乗り、前後に連なって進んでいく。アネルはこの道筋に見覚えがあるような気がした。前を行くフリーデルも笑いながら尋ねてくる。

「この道、見覚えがあるんじゃないか?」

「この道は王城からヴァルニクサへ向かう主要街道だ。右に行けばサヤワだが、俺がお前に会わせたい人物...

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