第6章

 拓実は自信満々に一歩、私へと踏み出した。懐中電灯の光を真正面から浴びた瞳孔は限界まで開き、注意のすべてが、妊娠して逃げ場もないように見える妻――つまり私――に釘づけになっている。

 背後で影が動いたことなど、彼は気づきもしなかった。

 ドスッ。

 重い真鍮の火かき棒が、拓実の後頭部に叩きつけられる。音は耳を塞ぎたくなるほどひどかった。熟れきったメロンをコンクリートに落として割ったような、湿って生々しい破裂音。

 拓実の身体が、ぴんと硬直した。戦術用の懐中電灯が指先から滑り落ち、レンガの床にガチャンと当たって転がり、隅へと消える。その光が、ワイン樽の列に狂ったような回転影を踊らせた。...

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