第26章 愛人が押しかけて挑発する

霧島絢香は表情をすっと引っ込め、感情の起伏を感じさせない冷えた声で言った。

「何しに来たの」

桜井陽菜は柔らかく微笑んだ。けれど、瞳の奥の得意げな光までは隠しきれていない。

片手でそっと腹部を押さえ、揶揄するように霧島絢香を見上げる。

――だが。

霧島絢香がすっぴんでも白く澄んだ肌をしているのを見た瞬間、胸の奥に生えた嫉妬の雑草が一気に伸びて、喉元まで塞いできた。

ただのシンプルなワンピース。それなのに、霧島絢香が纏うと、まるでオートクチュールの一着みたいに見える。

淡い色の長い髪は無造作にまとめられていて、ふとした拍子に数本が頬に落ちる。そのせいで、整った顔立ちがいっそう清冽...

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