第29章 結婚式を改めて挙げる?

しかも、背中の開いたドレスはシルク地がもともと薄い。男の指の腹にあるかすかな硬さが、きめ細かな肌をするりと掠めるたび、ぞくりとしたくすぐったさが忍び込んでくる。

霧島絢香は全身がひどく居心地悪くなるのを感じた。

だが、身じろぎしかけたその瞬間には、九条雅人にきつく押さえられていた。

「動くな」

雅人の息が耳元をかすめる。

「矢野和明も、ここにいる連中もみんな目上だ。俺に恥をかかせるな。九条家の面目も潰すな」

絢香は奥歯を噛みしめ、胸のむかつきを無理やり押し込めた。

霧島家のため。

大局のため。

耐えるしかない。

やがて二人は肩を並べ、矢野家の本邸へ足を踏み入れた。庭を抜け...

ログインして続きを読む