第53章 離婚することにした

九条雅人はもともと目を引く男だ。切れ長の眉眼は硬質で、近寄りがたいほど攻撃的な迫力がある。

そして今、その視線は一瞬たりとも彼女から離れなかった。深い瞳に捉えられると、まるで身体ごと吸い込まれそうになる。

けれど周囲の客には、それが「ひたむきな愛情」に見える。

霧島英昭は目尻に笑みを浮かべ、小夫婦の仲が良いのだとばかり思っていた。片時も離れたくないのだろう、と。

両親も目を合わせ、九条雅人が本気で娘を大事にしているのだと受け取った。

当の霧島絢香だけが、全身を強張らせている。必死に踏みとどまり、後ずさりしないようにして、低く言った。

「……なんで来たの」

声には、あからさまな牽...

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