第54章 噂が飛び交っている

彼女は本気で頭にきていた。――この男、いったい何をする気なの?

九条雅人は聞く耳を持たず、彼女の腰を抱き寄せて言い切る。

「寝るぞ」

そう言われても、霧島絢香は抜け出せない。抵抗するのをやめ、無理やり目を閉じた。

翌朝。

空が白みはじめた頃、スマホがぶるぶると狂ったように震え、絢香は叩き起こされた。

「……もしもし、夕菜?」

寝ぼけ眼で通話を取った瞬間、浅倉夕菜の切羽詰まった声が飛び込んでくる。

「絢香! 今すぐスマホ見て! トレンド、炎上してる!」

「あんたと桜井誠治が盗撮されてる!」

「……え?」

霧島絢香は一気に覚醒した。心臓がずん、と沈む。震える指で画面を開く。...

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