第57章 離婚手続き完了

霧島絢香ははっと手を引っ込めた。瞳の奥にあるのは、怯えと途方に暮れた色。反射的に否定してしまう。

「ど、どうしてそんな……おばあさま。私、ただ……最近、胃腸の調子が悪くて。変なもの食べたのかも」

必死に取り繕う。握りしめた掌は冷や汗でぐっしょりだった。

——いちばん怖いのは、妊娠が露見すること。

もし、万が一……。

九条美幸は、彼女の慌てて逃げる視線を見て、困ったように息を吐いた。次いで、そっとその手に自分の手を重ね、優しく叩く。笑みはあくまで穏やかだった。

「怖がらなくていいよ。おばあちゃん、言わない。誰にも言わないからね。雅人っていうクソガキにだって、ちゃんと隠してあげる」

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