第12章 逃走成功

ここ数日、長谷川遥斗はほとんど毎日家に帰ってきた。以前の彼なら、こんな頻度で戻ることなどなかったのに。

諏訪詩織にはわかっていた。わざとだ。彼は彼女をきつく見張っている。まるで、逃げ出されるのが怖いみたいに。

詩織もそれを指摘しない。毎日いつも通り食べて眠り、従順な顔を作って過ごした。警戒心を解かせるために。

朝。二人は同じテーブルで朝食をとり、遥斗は気遣うように料理を取り分けてくる。

今回は、詩織が珍しく拒まなかった。それだけで遥斗の機嫌は目に見えてよくなり、彼女がようやく折れたのだとでも思ったのだろう。

彼は視線を上げ、穏やかな表情で、甘く取り入るように言った。

「今日、個展...

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