第15章 詩織、お前は本当に容赦ない!

長谷川遥斗を落胆させるには、十分すぎるほどだった。

諏訪詩織は、まるで空気の隙間から消えたみたいに姿をくらませていた。別荘の防犯カメラにも、彼女がどの経路で出ていったのか一切映っていない。ましてや足取りなど、追えるはずもない。

一晩中動き回って、結局手ぶら。別荘へ戻った頃には、空は白みはじめていた。

玄関に立ち尽くしたまま、遥斗はがらんとしたリビングを見渡す。すると――幻でも見たように、そこに人影が立った。

諏訪詩織が、いつもの部屋着姿で本を抱えている。彼の帰宅の気配に気づくと、ふっと顔を上げて、柔らかく笑った。

「遥斗」

胸の奥がほどける。遥斗は反射的に、その影へ歩み寄った。け...

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