第28章 もう長いことしてないよね、したくないの?

諏訪詩織の身にまとった、触れれば消えそうな距離感が、またふっと立ち上がった。

その言葉はまるで――あなたなんていなくても平気、と告げているみたいで。

長谷川遥斗の表情が、刹那に凍りつく。胸の奥を掴まれるような恐怖が、理性を乱暴に押しのけた。

彼は手を伸ばし、諏訪詩織の手首を強く掴む。

力が強すぎた。

詩織は痛みに耐えきれず、思わず小さく声を漏らす。

「なにするの? 放して」

突然おかしくなった男を睨みつける。声色にも苛立ちが滲んだ。

不満げな顔を見て、遥斗も自分がやりすぎたと悟ったのだろう。けれど手は緩めない。

わざと声だけ落として言った。

「詩織……怒ってるのか?」

...

ログインして続きを読む