第29章 妊娠を隠す

永井先生はほどなく別荘へ駆けつけた。諏訪詩織の具合が悪いと聞いて、道中ずっと胸が落ち着かなかった。

門の前に着くなり中へ通され、家政婦が血相を変えて訴える。

「先生、早くお願いします! 奥様が苦しそうで……!」

永井先生は額の汗を拭い、案内されるまま二階へ上がった。

寝室に入った瞬間、ベッド脇に立つ長谷川遥斗が目に入る。諏訪詩織は布団をかぶり、顔色は紙のように白い。

部屋は手早く片づけられていて、香が焚かれているせいか、吐いたものの臭いも残っていない。

永井先生は反射的に、諏訪詩織の腹のあたりを見た。

だが、気が急いている長谷川遥斗はその視線に気づかない。永井先生を見るなり手招...

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