第36章 彼の人に手を出すとはいい度胸だ

誘拐犯たちは、林田美月がうなずいたのを見るなり、欲が出たのだろう。さっきまでの条件をあっさり翻した。

「さっきの50万じゃ足りねえ。300万だ。今すぐ俺の口座に振り込め」

林田美月の顔が、みるみる歪む。

「……頭おかしいんじゃないの? そんな金、どこにあるっていうのよ!」

この期に及んで、足元を見てゆすってくる。どこまで浅ましい連中だ。

誘拐犯は鼻で笑った。

「金がねえ? お前の後ろには長谷川グループの長谷川社長がいるだろ。お前に金がなくても、あの男なら出せる」

——こいつらを生かしておけば、いずれ災いになる。

林田美月は指をぎゅっと握りしめた。歪んだ表情のまま、どこか不気味...

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