第60章 浮気現場を押さえる

諏訪詩織は、ひどく深い眠りに落ちていた。喉の奥が焼けるように乾き、ようやく後半夜になって目が覚める。

壁の掛け時計に目をやる。針は十一時半を指していた。

羽織を引っかけて階下へ水を探しに行く途中、主寝室の前を通りかかった瞬間――中から、男女がじゃれ合うような声が漏れてきた。

一瞬、聞き間違いかと思う。詩織は眉を寄せ、ドアの前で足を止めて耳を澄ませた。

「やだぁ、遥斗ってば、ほんと意地悪……」

「……もっと優しくして……噛まないでよ、痛い……」

聞き覚えがありすぎる声だった。

諏訪詩織の瞳が、びくりと揺れる。

女の甘ったるい懇願が続く中、詩織は勢いよくドアを蹴り開けた。

「き...

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