第88章 申し訳ない、俺は彼女を選ぶ

通話を切るや否や、長谷川遥斗はすぐ秘書を呼びつけた。

「2時間以内に、現金で15億用意しろ」

秘書が目を見開く。

「長谷川社長……15億は、さすがに小さな額では……」

「行けって言ったら行け。口答えするな」

苛立ちを隠さない声に、秘書はそれ以上言えず、慌てて手配に走った。

――2時間後。

牧野徹が現金を持って長谷川グループに駆け込んでくるなり、息も整えずに聞いた。

「犯人から、また連絡は?」

長谷川遥斗は首を横に振る。

「詩織と林田美月を攫って、身代金は30億だと言ってきた」

牧野徹は自分が持ち込んだケースに視線を落とし、低く言った。

「二人で行くのは無理だ。目立ちす...

ログインして続きを読む