第111章

唇が触れ合う寸前、私はハッと我に返り、後藤辰和を力任せに突き飛ばした。肩で息をするたびに胸が大きく波打ち、頬は火がついたように熱い。

彼の視線から逃げるように顔を背ける。声は焦りで震え、掠れていた。

「後藤辰和、乱暴なまねはしないで!」

車内の空気は茹だるように熱い。後藤辰和の荒い息遣いが、鼓膜を震わせる。その瞳の奥で渦巻く情欲は、ねっとりと私に絡みつき、逃げ場を塞いでいた。

私が反応する間もなく、彼は覆いかぶさるようにして唇を奪った。それは強引で、それでいて焦燥に駆られたような口づけだった。舌先が強引に歯列をこじ開け、私の舌に絡みつき、執拗に貪る。

「……欲しいか?」

紙やすり...

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