第168章

鈴木七海はそれ以上何も言わず、一方的に電話を切った。

彼女は病室のベッドに背を預け、軽く瞳を閉じる。

やがて目を開くと、小林大雅の顔を真っ直ぐに見据えた。

「送ってください」

今こそ、すべてに決着をつける時だ。

「でも、今の体じゃ……」

小林大雅は不安を隠せない様子だった。彼女の情緒が乱れることを危惧しているのだ。まして相手は、あの男なのだから。

鈴木七海の唇に、淡く冷ややかな笑みが浮かぶ。

「大丈夫です。苦しむべきなのは彼であって、私ではありませんから」

あなたの子供なのだから。

別荘——そこはかつて二人が暮らした、新居とも呼べる場所だった。

彼女があえてこの場所を指...

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