第208章 取引をしよう

翁長久(おきなが・ひさし)の気分は、かつてないほど高揚していた。顔から滲み出る笑みを、どうしても抑えきれない。

周囲では、社員たちが声を潜めて噂話をしている。

「これほどの大事だ、鈴木社長もただでは済まないだろう」

「俺に言わせれば、間違いなく開発部の誰かがデータを盗んで、『スターレイク』に売り飛ばしたに違いないさ」

「だとしたら、社長の首も飛ぶぞ。解雇は免れない」

「社長だけじゃない。俺たち開発部全員、クビになるかもしれないんだぞ」

「まさか。鈴木社長は星辰(せいしん)グループの執行社長だぞ、そう簡単に切られるわけがない」

「お前、あの動画を忘れたのか? 鈴木社長が他の男と…...

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