第252章 鈴木七海への悪意

実のところ、室林永子と林原宏は婚約者という間柄ではあるものの、そこに愛情はほとんど存在していなかった。

何年も前、彼女が初めて林原宏に出会った時、一目で恋に落ちた。あの頃は若く、感情のままに動いており、自分が欲しいものは必ず手に入れられると信じていた。だからこそ一族の者に圧力をかけ、コネを使って林原宏と婚約したのだ。だが実際には、この数年間、二人にそれほどの交流はなかった。

彼女は林原宏を理解していないし、林原宏もまた彼女を理解していなかった。

婚約後、彼女は林原宏にまとわりつくのをやめ、自身の研究に没頭した。彼女にとって、婚約さえすれば、それは自分の所有物だとレッテルを貼ったも同然で...

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