第285章 移動する血液銀行

森下美香の顔に浮かんでいた憂いが強張った。

上村愛美が少しだけ後ろに退くと、そのすらりとした美しい脚が美香の視界に見え隠れした。もし彼女がもっと注意深く観察していれば、その脚の付け根にも赤い痕があることに気づいただろう。

愛美は少し艶めかしく腰に手を当て、疲れたような様子を見せた。「本当にごめんなさいね、森下さん。さっきまで政光とちょっと用事があって、ドアを開けるのが遅れちゃったの」

そう言って、彼女は口元を押さえて恥ずかしそうに笑った。その姿に、美香は思わず暴言を吐きそうになった。

しかし愛美はそんなことなど気にも留めていない様子で、美香を病室へと案内しながら、時折美香の方へと視線...

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